研修制度
バス会社随一の
研修体制を整備
安全整備部安全研修センター
課長代理(当時、現:監査室課長)
佐藤 誠
MAKOTO SATO
JRバス関東の研修制度の考え方
当社では、支店ごとに指導運転士が配属され、乗務員の技能向上を図っています。さらに全社的に訓練内容を統一し、かつ質的アップを図るため、2013年、「安全研修センター」が設立され、以来、同センターで各種の研修・訓練を行うようになりました。
当社における研修の目的は、まずは何より事故を起こさないこと、事故を起こさない運転士を養成することです。それにプラスして、揺れないなど、より快適な運行ができるよう指導しています。センターでの訓練を受けたあと、実際の業務によって常に技術を磨くことで、どんどん運転はうまくなるはずです。訓練内容を思い出し、自己の技量を磨いていくための基礎にしてほしいとの思いで指導しています。
安全研修センター
新任乗務員研修
新任乗務員には、入社後約1カ月間(※)、安全研修センターで実施される「新任乗務員研修」を受講してもらいます。その期間集中して研修を行うため、センターの近くに宿泊施設を用意しています。
新任研修は、座学と実技講習からなります。最初の2日間は座学で、JRバス関東という会社の紹介から始まり、バスの操作の仕方や運転士として知っておくべき法律関係などについて学びます。座学を終えたあとは実技講習に移ります。まずはバスの点検の仕方から。その後、バスを使って装置の説明をし、実際にバスを動かします。そこで一定の技能があると認められれば、公道に出て運転します。
※現在は安全研修センターでの研修は1週間
宿泊施設
座学
センターがある佐野の近くは交通量が少なく、広い道もあります。そうした簡単な道から、交通量の多い国道へと移ります。個人差はありますが、一般道路に入っておおよそ1週間後をめどに、高速道路の走行訓練に入るようにしています。
高速バスの乗務員にするための研修ですので、高速道路を使った研修には時間をかけ、約2週間、実技講習を行います。一般道も、特に東京都内での路上走行を多くするようにしています。高速道路の訓練をするときは、佐野を出発して東京支店を目指します。12メートルの大型バスで、首都高をはじめ、都内の複雑な道路を走行し、運転感覚を身に付けていきます。
乗務員定期研修
適性診断シミュレーター
新任乗務員研修のあと、3年、6年、9年と、3年ごとに定期研修も行っています。すべての乗務員が必ず受講するもので、研修日程は1日です。午前は適性診断シミュレーターによる運転適性診断を行います。これは運転の可否を決めるものではありません。人それぞれ、運転をする際のクセがあります。たとえば、バックをする際、後方確認をする前にタイヤが半分回っているような場合、そのクセは状況によっては危険につながる可能性がありますので、適切な運転動作ができるよう指導します。
また、バスを運転する場合、いろいろなものを見なければいけません。鉄道とバスの違いとも言えますが、バスの場合は自分の進む方向だけを見ていてもいけません。適性診断では、視野に入るさまざまな事象に対してきちんと注意を払えているかも見ます。仮にその点数が少ない場合は、意識的に周囲を確認するよう促します。そうした点は本人が気付きにくい場合がありますので、より客観的に診断し、修正できるようにしています。
午前中、そのようにして自分のクセを把握したあと、午後からは訓練専用車で一般道と高速道の走行を行い、各種データを収集します。最も大事なのは、安全確認をきちんと行っているかです。出発時にミラー確認する際、動き出してから確認していないかなど、複数項目についてチェック。運転の丁寧さについても見ます。そうしたデータや映像をもとに、車内のレクチャールームで確認、指導し、自らの運転を振りかえることで、弱点把握につなげます。JRバス関東の強みは、訓練車によって弱点を数値化し、客観的なデータに基づく指導ができる点だと言えるでしょう。
適性診断
レクチャールーム